舞台に立つなら覚えておきたいネタの構造

ネタを作るときに必要な要素を挙げてみます。
どういったことがネタに必要になるのかを細かく分類しました。
ネタの基礎的な部分なので把握しておきましょう。

ネタの参加人数


ピン
一人でネタを行います(※ボケる、何かにツッコミを入れる、何かでボケるための前フリを入れるのいずれかを行います)。

  1. 自分でフリを入れて、自分でボケます。
  2. 自分でボケます。
  3. 自分でボケて、自分でツッコミを入れます
  4. 自分でフリを入れて、自分以外でボケます。
  5. 自分以外でフリを入れて、自分でボケます。
  6. 自分でボケて、自分以外でツッコミを入れます。
  7. 自分以外でボケて、自分でツッコミを入れます。
※「自分以外」というのは、舞台上にいる芸人自身の発言や行動ではないもので文章(フリップ)や音声(ナレーション)などを使ったネタです。
つまり、フリ・ボケ・ツッコミを行う相方を人間以外で補う方法です(※事前に自身の音声を録音したり、映像を録画して流す場合があります)。

一人で複数の役を演じたり、周囲に誰かがいる想定で話し掛けながら演じたり、実際の観客をネタ中の観客として扱うことがあります。
また、必要であれば、別の役者を登場させることもあります。
例: 陣内智則(ツッコミ※7)、バカリズム(フリ&ボケ※ネタによりますが1や4)

コンビ
ボケ担当とツッコミ担当の二人でネタを行います(※必要であればどちらかがフリ担当も行います。以降、同様です)。

一方がボケ、そこにもう一方がツッコミを入れます。
例外的に、二人ともボケる『Wボケ』や、二人とも面白いツッコミを入れる『Wツッコミ』という方法もあります。
例: NON STYLE(フリ&ツッコミ: 井上、ボケ: 石田)、オードリー(フリ&ツッコミ: 若林、ボケ: 春日)

トリオ
ボケ担当(二人)とツッコミ担当(一人)の三人でネタを行います。

一人がボケたら続けて別の人がボケ(もしくは二人同時にボケ)、そこにツッコミを入れます。
例: ジャングルポケット(ボケ: 太田&斉藤、ツッコミ: おたけ)、ロバート(ボケ: 馬場&秋山、ツッコミ: 山本)

グループ
ボケ担当(複数人)とツッコミ担当(一人)の複数人でネタを行います。

一人がボケたら続けて別の人がボケ×α(もしくは複数人が同時にボケ)、そこにツッコミを入れます。
または、一人がボケたら複数人が(同時に)ツッコミを入れます。
例: 超新塾、ザ・プラン9

ユニット
別に活動している人と組んでネタやパフォーマンスを行います。

別々に活動している人同士で新しいコンビやトリオ、グループを結成して活動します。
他の芸人さんやお笑い以外の活動をしている人と組みます。
例: キュートン

ネタのジャンル


漫才
観客におしゃべりを聞いてもらう『しゃべくり漫才』、ネタ中にコント(劇)に入る『漫才コント』という二種類の漫才があります。

コント
観客の前で別の世界を作り出す、劇のようなネタ。

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ピン芸
観客の前で、個性的なネタを1人で行う。

その他
漫才でもコントでもないネタ。
主にピン芸、もしくはオリエンタルラジオさんの武勇伝ネタのような漫才でもコントでもないタイプのネタ。

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キャラクター


コンビ
コンビを組むのならキャラクターが対照的になっているほうが面白みが出ます。
  • 服装(スーツ・カジュアル)
  • 髪型(短髪・長髪)
  • 体型(でぶ・ガリ)
  • 身長(デカ・チビ)
  • 顔立ち(美形・ブサイク)
  • 人間性(真面目・不良)

お笑い事務所別のネタ


これからお笑い事務所に入るのを検討している方や、現役で活躍されている方向け。

事務所ごとにネタの傾向がある?
漫才、コント、ピン芸、それ以外のネタ、といったネタがありますが、どこの事務所でもなんでもやらせてもらえている感はあります。
面白かったら人気が出て、仕事につながって、事務所が儲かるので、あえて芸風に制限を設けるよりかは自由させると思います。
といっても、関西に在籍しているのなら、漫才が本場なので漫才をやっておくと仕事(番組出演)につながりやすい、といったことはあると思います。
関西は漫才番組は多数あってもコント番組は吉本新喜劇ぐらいなので、漫才以外のネタをしているとテレビ出演につながりにくい、ということになります。
自分の活動地域に根付いた笑いのスタイルや仕事があるので、その辺は研究してみる価値はあります。
地元の舞台 ≫ 地元のテレビ出演 ≫ (東京の舞台 ≫) 東京のテレビ出演(ネタ番組、お笑い大会、バラエティ番組)、といった感じでしょうか。
関西ではおしゃべり付きな人が多いので漫才番組は受け入れやすいですが、東京では立ち話にしか見えず地味になるのでコント番組はあっても漫才だけの番組というのはありません。

すべての事務所に言えることですが、こういうネタをやるように!というより、こういうネタはやらないように!といった「禁止ネタ」みたいなのがあるようです。
ネタを作るのが簡単だったり、笑いを誘いやすい、といった理由で、お笑い事務所の先生にダメ出しされる笑いの取り方があるようです。

特に大手の事務所ほどお笑いの歴史があるので、先生が理屈っぽい、固定観念があったりなどしてダメ出しされやすいかもしれません。
小島よしおさん、鳥居みゆきさん、髭男爵さん、スギちゃんなど、お笑い事務所「サンミュージック」に所属する芸人さんはキャラ芸が多いという、癖のある事務所もあります。
ネタとはこうあるべきだ!というのがなく、芸風に緩い事務所なのかもしれません。

ちなみに、お笑い事務所ごとに何が違うのか?
給料(仕事先から支払われたギャラを事務所と芸人で分ける割合)、バーター(所属事務所の先輩と一緒に番組出演)、プライベートでの付き合い(所属事務所の先輩との付き合いの中でバラエティ番組で話すエピソードが生まれやすい)、関わる番組(大手事務所が関わる番組・イベント企画には所属する芸人を使ってもらいやすい)などですかね。
大きい事務所ほど仕事につながりやすく、バラエティ番組で人気のお笑いタレントが所属する事務所ほど先輩と一緒に仕事をさせてもらいやすい、といったメリットがあるようです。
デメリットは?人気お笑いタレントの先輩が多ければ、付き合いが大変でしょうね(ネタの相談や番組出演の際のタメになる話もあると思いますけど、持論に付き合わされる?)。

立ち位置


舞台に立つ際に問題になるのが、ボケ担当とツッコミ担当(とフリ担当)のどちらが観客から見て左側・右側に立つのか?
観客(視聴者)から見た位置関係で説明します。

漫才の場合は利き手を重視
ツッコミ担当の利き手が右利きだとしたら、ツッコミやすい立ち位置か?それともツッコミのアクションの見え方か?
観客から向かってツッコミ担当が右側に立って右手で相方にツッコミを入れると、ボケ担当の背中側(左肩うしろ・後頭部)を叩くことになります。
結果、正面を向いたままツッコミを入れることになります。
逆に、観客から向かってツッコミ担当が左側に立って右手で相方にツッコミを入れると、ボケ担当の胸側(右肩まえ・前頭部か側頭部)を叩くことになります。
結果、振り向きながらツッコミを入れることになります。
ツッコミを入れるときに相方を叩かないのであれば、特に関係はありません。
座って行うトーク番組に出演したときは、ツッコミ担当が左側に座ると、相方を叩くときに座椅子で下半身が固定され体がひねりにくくなります。

観客の視線の流れを重視
人間は左から右へ視線を流すのに慣れています。
そのため視線の起点となるのが左で、右に進めるのが観客にとって見やすい流れになります。
会話をリードする担当は、ボケ担当でもツッコミ担当のどちらでも構わないのですが、ネタのやり取りで非常に重要になります。
もし会話をリードする担当が左側に立てば、観客は視線を左に向かわせ、相方が話すと視線を右にやることになります。
逆に、会話をリードする担当が右側に立てば、観客は視線を右に向かわせ、相方が話すと視線を左にやることになります。
※話す分量や速さにより見え方が違います。

また、ボケとツッコミの流れというのもあります。
もしボケ担当が左側に立てば、左側でボケ、右側に立つツッコミ担当のツッコミで一つのやり取りを完結することになります。
逆に、ボケ担当が右側に立てば、右側でボケ、左側に立つツッコミ担当のツッコミで一つのやり取りを完結することになります。

これがコントや漫才コントをする場合になると、非常に影響を受けます。
例えば、コンビニを舞台としたネタをする場合、入口やレジの位置が観客から見たときに舞台のどちら側にあるかで雰囲気がまったく違ってきます。
漫才とは違って立ち位置が大きく離れることが多いコントでは、視線の流れが重要になります。
ためしに、動画サイトでインパルスさんのネタを見てみると、特定の傾向に気づくと思います。
また、コンビニの場合はレジの位置は構造的には実際に右の場合もあるし左の場合もあるのでどちらでもおかしくありません。
これが「教室」となってくると、教壇(左)と廊下(右)、教壇(左)と生徒側の席(右)にしないと、構造的におかしくなります。

特殊な事例では「かぶせ」を行うときです。
Wボケやトリオ・グループの展開では、左側に位置する人が主になってボケ、右側にいる人がかぶせてボケると、視線の流れ的に見やすくなります。

一人コントや漫談などで一人で複数の役を演じたり、複数のキャラに話しかける場合も視線の流れを計算しましょう。

フリップネタ
フリップネタを行うときは、右利きの芸人は左側、フリップは右側に置くとめくりやすくなります。
あえてフリップの向こう側に立つという方法もあります。
フリップを少しずつめくるネタの場合は、右利きの芸人は右側、フリップは左側に置くと、少しずつ見せるときに左から見え始める流れになり見やすくなります。
また、ホワイトボードなど書きこむネタ場合は、右利きの芸人は左側、ボードは右側に置くと書き込みやすくなります。

余談ですが、バラエティ番組に出演したときに、ツッコミ担当は立ち位置が右側が良いというのがあります。
パネルやスクリーンを使う番組に出演すると、パネル・スクリーンの左側に芸人さんは立たされることが多いです(※セットの構造による)。
この時に、ツッコミ担当(仕切る担当)がパネル・スクリーンに近いほうが「ボケ担当 ツッコミ担当 パネル・スクリーン」という配置になるので、表示された映像を紹介しやすい、という利点があります。

ネタを行うときに使用するもの


舞台
ネタをするときの舞台の使い方。
舞台を移動すると地味な展開になるのを防げます。
また、舞台袖(観客から見えない位置)に戻るという方法もあります。
※漫才ではセンターマイク(舞台中央に設置されている棒上の先にマイクが取り付けられている)から離れると声のボリュームを上げる必要があります。
※ピンマイク(※テレビ番組で見かける胸元に付けているマイク)があれば、どの位置でも声を拾うことができます(※設備が必要)。
例: 舞台上を広く使うネタ or 身振り手振りだけであまり動かないネタ

照明
舞台の照明の使い方。
コントやピン芸で、場面転換や「ブリッジ(※仕切り直し)」に使えます。
例: コントで、別の場所に移動する瞬間に照明を消して暗くしたあと明るくし、別の場所に移動したことにする。

ナレーション
音響設備を使ってナレーションを流す。
コントやピン芸で、登場人物の心の声や客観的な視点、舞台説明をするナレーションを入れます。
例: コントで、心の迷いを抱えている人物の心の声をナレーションで流す。

BGM
BGM(曲)を流す。
コントやピン芸で場面に合わせるBGMか、逆に違和感のあるBGM(※結果的にボケになる)を流します。
※漫才では「出囃子(でばやし)」という入場曲を流すのに使います。
例: 恋人同士が近づいたら、バトル系のBGMを流す。


ネタの世界観を作ったり、ボケるための道具や人物像を作り出す。
主にコントで使用します。
漫才でもポケットに仕込んでおいて小道具として使うことができますが、物を使うことに批判が出る恐れがあります。
例: 杖を持つことでお年寄りを演じる

言葉・動き
セリフやアクション
例: 物語を作り出すセリフや動き

衣装・メイク
衣装やメイクでキャラクター性を付けたり、見た目に面白さを作りだします。
主にコントで行います。
例: 白衣を着て医者の格好をする

話し方
話し方でキャラクター(人物像)を作り出します。
例: 低い声で恐い人を演じる

話す内容
話す内容から人物像(キャラクター)を作ります。
例: 不安なことばかり言って、心配性な人を演じる

人物像
セリフや動作で登場人物がどういった人間なのかを表現します。
観客が思わずハマるようなキャラを作りましょう。
例: キャラクターを作り、ネタが淡々としないようにする。

ネタの披露場所


テレビ(生放送)
  • 漫才では直近の時事ネタや直前の芸人に関わることをネタに盛り込めます
  • (お笑い大会やトップバッターは)観客が緊張しています
  • 放送禁止の内容をすると大問題になります

テレビ(収録)
  • 番組によっては専用の観客(笑い声を上げる観客やスタッフ)を入れているので笑いが起きやすい?
  • (トップバッターは)観客が緊張しています
  • イマイチな部分はカットされます
  • 放送禁止の内容をするとピー音が入ったりモザイクがかかったりカットされます

舞台(事務所の芸人が合同)
  • 事務所の力で出演することができます
  • (トップバッターは)観客が緊張しています
  • ネタ全体がスベると後続の芸人に迷惑がかかります

舞台(芸人単独)
  • ファンが入るのでウケが良いです
  • (一本目は)観客が緊張しています

営業
  • テレビに出れなくても営業での収入が大きかったりします
  • 観客層によってウケすべりの差が出ます
  • 環境によって観客に声が届かない、見えづらい、伝わりづらいという問題が出ます

DVD
  • 舞台や番組の公演料や出演料が入るうえに、さらにDVD化で出演料が入ります
  • 観客なし・スタッフの笑い声なしの収録だと面白くありません
  • 放送禁止な内容をするとピー音が入ったりモザイクがかかったりカットされます

YouTube
  • 動画の閲覧数に応じて収入を得られます
  • 海外ウケすれば国際的な人気を得られます
  • 炎上しやすいです

以上、スタッフのチェックが入っているとはいえ悪乗りしすぎたものは問題に発展する可能性があります。

ネタの商品化


※本人にいくら入ってくるのかは権利関係や事務所によって違います。

DVD化
ネタがDVDとして発売されます。
舞台で行ったものや番組(お笑い大会やネタ番組)で放送されたものがあります。

書籍化
主に、一言ネタやフリップネタをしていると書籍化(本)として発売されます。

着ボイス・着メロ・CD化
特定のフレーズを使ったネタや歌ネタをしていると着ボイス(※ワンフレーズが流れる)、着メロ(※歌が流れる)、CD化・ダウンロードコンテンツ化されます。
また、歌の場合はカラオケで歌われたり、番組で使用されると印税や楽曲使用料が入ってきます。
作詞(※BGMのみならカット)、作曲、歌唱(※BGMのみならカット)の3つに対して収入が入る感じです。

グッズ化
コスプレグッズ、おもちゃ化など。
特に最近ではキャラ芸(※個性的な衣装やメイク)をするとコスプレグッズが発売されるのが恒例になっています。
※事務所からの公式のものあれば、許諾を得ていないそれっぽく見える商品などがあります。

一発屋問題


お笑い芸人さんが人気沸騰したのち、飽きられてテレビから消えるのはなぜか?
まず、お笑い芸人がテレビで人気者になるまでの理想の流れから。
芸人として活動する ≫ 番組オーディションを受ける or 舞台活動中に番組関係者に気に入ってもらう ≫ テレビに出る ≫ ネタ番組 or バラエティ番組に出演 ≫ 結果を残す ≫ レギュラー番組を獲得してテレビに出続ける

そして悪い流れの場合。
芸人として活動する ≫ 番組オーディションを受ける or 舞台活動中に番組関係者に気に入ってもらう ≫ テレビに出る ≫ ネタ番組 or バラエティ番組に出演 ≫ ブームになる ≫ 多数の番組に出るがレギュラー番組なし ≫ ブームが終わってテレビから消える(舞台活動に戻る)

慣れる
芸人さんの目新しさやネタの斬新さ、そして面白さがあると爆発的な「好意」が沸き起こりブームになりますが、世間は次第に「慣れ」を起こして「好意」が減少し始め興味をなくします。

飽きる
人気が急上昇するのに合わせて過剰なテレビ出演により、世間が同じ芸人さんやネタを見ているうちに「飽き」はじめ、それでも目につくと「嫌悪感」が生まれ興味をなくします。

乗り換え
新しい芸人さんが登場して人気になり、世間の「好意」が別の芸人さんへ移ることで興味をなくします。

新年
新年(1月1日)を迎えると世間は気分を一新するので、前の年に好意(興味)を持った芸人さんに興味をなくします。

時系列
  1. 新年(世間は気分を一新するので、前年度の人気芸人に興味をなくす)
  2. 仕事始め(正月の特番期が終わるので、お祭り的な番組が減る)
  3. 露出過剰(12月~1月にかけての特番期の過剰出演で飽きられる)
  4. 1月いっぱい(正月気分が終わるので、お祭り的な番組が減る)
  5. 2月 R-1(R-1ぐらんぷりで目新しい芸人が注目されるので、前年度の芸人に興味をなくす)

多数の番組関係者が芸人さんの目新しさやネタの面白さに気付きます。
録画された番組が放送される1か月後あたりに露出が急激に増え始めます。
露出が増えてから1~2カ月でピークを迎え、その後は人気が落ち始めます。
夏以前であれば人気が年の最後まで持たず、秋以降に人気が出れば各局が特番期に入るので仕事が増加する傾向にあります。
そのため極端なテレビ出演が年末(12月31日)あたりまで続きます。
ただしネタで人気になったとしても、トークが苦手だったりキャラ(個性)が弱かったりすると、バラエティ番組のレギュラーを勝ち取れません。
新年になったら収録済みの放送を残してテレビ局は一斉に見向きもしなくなるので仕事が激減する、という傾向がお笑い界のサイクルになっています。

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