わずか数秒で笑わせる一発ギャグの作り方

ギャガー(※ギャグを持ちネタにしている人)はどんなネタを作ればいいのか悩んでいると思います。
そこでギャグを作るときに役立つまとめを作ってみました。

一発ギャグとギャグの違いとは?


世の中には「一発ギャグ」のほかに「ギャグ」というものがあります。単語としては「ギャグ」の前に「一発」が付いているか付いていないかですが、意味としては似て非なるものなので、まずはその違いについて説明します。

一発ギャグ
ストーリー性を省いた1分以内のお笑いネタです。特に視覚に訴える要素を問われるので、動きを取り入れることが重要です。
例えば、お笑いコンビのサバンナ八木さんが行う「ブラジルの皆さん聞こえますか~」という一発ギャグは、しゃがみながら地面に向かって呼びかけます。動作はありますが、コントのような起承転結はなくストーリー性がありませんよね。
例外的にストーリー性のある一発ギャグをされる芸人さんがいますが、セリフが多かったり、ネタの時間が長いとショートコントのようになります。だからといってダメなわけではありませんが、一発ギャグとしては本質からズレます。

ギャグ
漫才やコントなどを披露して世間(観客)にウケます。そのネタの最初、途中、最後などで「特定の言葉(+動き)」を使っているとします。
その言葉を含めたネタ全体が世間にウケることで、特定の言葉だけを取り出して単体で行っても観客から笑いを誘えるようになります。この特定の言葉がギャグです。

一発ギャグが「視覚に訴える要素が重要」なのに対し、ギャグは「言葉が重要視」なので動きはあってもなくても構いません。ただし動きを取り入れて視覚に訴えたほうが笑いを誘いやすいです。

ここからは一発ギャグやギャグ以外のネタとも比較してみましょう。

一発芸
一発芸とは、体(技術)、顔(表情)、声(声質や言い方、発言内容など)を使った芸で、観客から驚きを誘います。
一発芸で重要なのは、「驚き(意外性)」を作り出すことです。そこには思いもしなかった発想力の高さや、日常生活を送る上で不必要さを感じる「くだらなさ」が含まれます。
例えば、「一発芸をやります」と言って黒柳徹子さんの声マネが激似だったとしたら、「スゲェ!!似てるっ!!(笑)」ってなります。
その芸を披露する人のイメージや世間の基準からかけ離れた技を披露すると、「凄み」が生まれ驚きを作り出します。
また、日常生活を送る上での不必要さから、その発想力(アイデア)や技術力は果たして意味があるのだろうか?という違和感から「くだらなさ」が生まれます。

ショートコント
ストーリーを演じるお笑いネタで観客から笑いを誘います。
※ショートコントを一発ギャグとして使えたり、またその逆に一発ギャグをショートコントとして使えます。
一発ギャグをする際にセリフ量が多ければ「演劇」の印象が強まり、またネタの時間が長ければ起承転結的な構造を持つことでショートコントに近づきます。そのため最初に述べた通り、一発ギャグは「セリフが多かったり、ネタの時間が長いとショートコントのようになります」というわけです。

まとめ
少し難しい話になりますが技術的に説明すれば、「ギャグ」は「意外な構造性」だけで作られているので、理解しがたく「意味不明」になります。
一方、「一発ギャグ」は「同一的な構造性」や「合理的な構造性」(※同一的な構造性や合理的な構造性の中に意外性も含む)で構成されているため、ギャグだけでも納得感があるので面白さが成立します。

例: ギャグ「お茶ーーーん!」※「お茶ーーーん」という存在しない言葉なので意外性だけで構成
例: 一発ギャグ「電話に誰も出んわ」※「電話」と「出んわ」という同一性(同音)と、同音なのに異義語という意外性で構成

ネタの長さ


一発ギャグを披露するときの長さ(所要時間)は「2~3秒以内の瞬間的なネタ」と、「数十秒かけるネタ」に分けられます。

「2~3秒以内の瞬間的なネタ」を行う場合は、最初から面白いことをします。
一言~三言を言い切る(&動作を付ける)ネタを行います。
(※瞬間的であれば三言以上でも構わないです)

一方、「数十秒かけるネタ」は種明かし的なネタをします。
ネタの序盤(※「起承転結」の「起・承」もしくは「起・承・転」)で普通の出来事か何をしているのか分からないことを行って謎を作り出し、終盤(※起承転結の「転・結」もしくは「結」)でそれまで行った行動の意味が判明することを行います。
つまり観客に対して、最初は「何をしているのだろう?」と疑問に思わせ、最後に「そういうことだったのか!」と種を明かすことで納得感を作り出します。この納得感が大きければ大きいほど面白さにつながります。

仕組み その1


言葉遊び
誰でも知っている言葉を「もじる(ダジャレ)」にします。
もじることにより、もじる前の言葉ともじった後の言葉にギャップを作ります。

掛け合わせ
何かと何かを掛け合わせます。
「セリフ」「動き」「声マネ(モノマネ)」などの「あるあるネタ」を掛け合わせ、内容にギャップを作ります。

替え歌
誰でも知っている歌を替え歌にします。
  1. 誰でも知っている歌を歌い始める
  2. 途中から替え歌にする

パロディ
誰でも知っている作品の内容を応用します。
  1. 誰でも知っている作品を演じる
  2. 途中からセリフや行動をおかしくする

ものまね
何かをマネます。
  • セリフ・声をマネる
  • 動き・顔をマネる
  • 人間以外の何かをマネる
  • 音・BGMをマネる

○段オチ
「三段オチ」の要領で、最初に何かを始め、その流れを継承しつつ、最後に意外性を発生させてオチをつけます。
最後のオチの部分は「ダジャレ」や「納得させられる(合理的な)内容」にします。
  1. 一定の流れを行う
  2. 最後にそれまでの流れを裏切ることをする

種明かし
最初に意味不明な謎めいたことを始め、最後に意味を明かします。
  1. 意味不明なことを始める
  2. 意味を明かす


仕組み その2



  • セリフ(ギャグに合ったセリフを言う)
  • 歌う(ギャグに合った歌を歌う)
  • あるあるネタな発言(個性的な出来事の発言をする)
  • ものまね(話し方や声質、音やBGMをマネる)
  • 擬音(擬音を言う)
  • 変声(変な声を出す)
  • 大声・怒鳴り声(大きな声を出す)

表情
  • 顔つき(ギャグに合った表情をする)
  • 変顔(変な顔をする)

動き
  • アクション(ギャグに合った動きをする)
  • ダンス(踊る)
  • あるあるネタな動き(個性的な出来事を再現する)
  • 物理的な動き(物理的な動きを再現する)
  • 奇妙な動き(変な動きをする)
  • 痛そうな動き(痛く見える動きをする)


仕組み その3


聞いたことあるある!
どこかで聞いたことがあるセリフや言葉、歌などをマネます。
何かのセリフや言葉、歌やBGMを用意して、(途中から)違う内容に変えます。
例: 「いい国つくろう、勝手にどうぞ」(※COWCOW・多田)

見たことあるある!
どこかで見たことあるあると思う動きや格好をマネます。
何かの動きや格好を用意して、それを再現すると共にタイトルを言います。もしくは最初にタイトルを言ってから再現します。
例: 「(※両手が芝刈り機に見えるような動作を行い)ウィ~ン」(※ペナルティ・ワッキー)

確かにそうだけどね!
理屈上は間違ってないけど、どこか違うよね、と思わせるセリフや行動を行います。
あるあるを用意して部分的に違うことをします。
サバンナ八木さんのギャグで説明すると、「○○の皆さん聞こえますか~」という遠くの人に呼び掛けるあるあるをしています。
でもブラジルという遠い国(※地球の裏側?)だから聞こえるはずもない、というおかしさを作り出しています。
例: 「(※床に向かって)ブラジルの皆さん聞こえますか~」(※サバンナ・八木)

一発ギャグの始め方


宣言
これからギャグを行いますよ、と宣言することで、周囲を静かにさせ注目してもらいます。
例: 「じゃあ、やります」(※すでにギャグを行う要望(フリ)があるとき)
例: 「じゃあ、一発ギャグをします」(※フリがないとき)

説明
ギャグの前の○○の部分にギャグの内容を表現した説明を付けます。
タイトルに面白さを付け加えることができ、また何をするのか観客に期待させることができます。
例: 「○○ギャグをします」
例: 「熟女ギャグをします」

ギャグがウケる条件


一発ギャグがウケるかどうかは状況で違ってきます。

好意
観客がギャグをする人への「好意」が大きければ大きいほどウケやすくなります。
年齢がかけ離れていたり、初対面もしくはそれほど親しくない人の前でギャグを行うと、緊張感があるので笑いが起きづらくスベりやすくなります。
その人が過去に面白かったなど、その人に対する評価や情報がギャグに付加価値を与えます。

盛り上がり
観客がノリノリな状況ほどウケやすくなります。
逆に、盛り上がっていないような状況でギャグを行うとスベりやすくなります。
前もって「場を暖めておく(観客が笑いやすい環境を整える)」必要があります。

個人差
悪ふざけが好きでノリノリな観客ほどウケやすく、マジメで冷静な人ほどウケにくくなります。
気分の高揚感(性格)や社会的な役割(地位)が違うことで、お笑いに対する反応に差が出ます。

世代差
子供は物事の考え方が厳しくないうえ非現実的なことを好みテンションが高いので、意味不明な内容でもテンションをあおると笑いを誘いやすくなります。
若者~中年は物事の考え方が厳しいうえ比較的冷静なため、冷めた見方をするので笑いを誘うのが難しくなります。
年配者は複雑なニュアンスの理解が難しいので、「年配者あるあるネタ」以外への反応は薄いです。

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ちなみに、バラエティ番組やネタ番組というのは、お笑い好きな観客を入れて収録しています。
元々、お笑い芸人に対して「好意」を持っている若い女性客が観客席に入っているので、なんでもかんでも笑ったりします。
また、前説(※番組収録前に芸人さんが観客の前でネタをするなど)をしているので、観客が盛り上がりやすい状態からネタを披露することができます。
場合によっては「仕込み(※笑い声を上げる人を観客席に入れる)」が行われていて、笑い声を大きく上げる観客さえいます。
つまり、無名に近い人がお笑いに興味を持っていない人やテンションの上がっていない人前で一発ギャグをするのは、非常にスベりやすい状況になります。
テレビ番組の影響からかギャグが簡単にウケるイメージがありますが、それはテレビ番組のスタッフが入念に仕込んでいるからで、また人気者がお笑い好きな観客の前か仲間の芸人の前だからこそ簡単に笑いを誘えるのです。
つまり、一発ギャグというのは面白いギャグを考えるだけでなく、「環境を整える」ということも大事なのです。


一発ギャグがスベった時の対処法


一発ギャグを披露した瞬間、観客が「シ~ン……。」と黙り込んでしまい、スベってしまった時の対処法。

疑問
目を見開き、(口をあんぐり開け、)キョトンとした表情で笑いを誘う。
例: 「………。あれっ?」
「スベりキャラ(※いつもスベっているイメージ)」が定着していると、見ている人から「また、スベっちゃってるよ」と思われウケやすくなります。

逆ギレ
逆ギレして笑いを誘う。
例: 「………。うるぁぁああっ!!」
「スベりキャラ」「キレキャラ(※怒るイメージ)」が定着しているとウケやすくなりますが、威圧的な態度に恐がられ、状況がさらに悪化する危険性があります。

ツッコミ
相方(共演者)にツッコミを入れてもらい笑いを誘う。
例: 「………。」『お前はこんなもんやって(笑)!』
スベったこと自体をボケとして、そこにツッコミを入れて笑いを誘う一番無難な方法です。

もしツッコミを入れてくれる人がいない状況なら、自分でツッコミを入れます。
例: 「………。所詮こんなもんですよ」

観客にツッコミを入れることもできます。
例: 「………。みんな、お通夜の時みたいな顔で見んといて」

ギャグだけを披露していく企画を除き、スベったあとに何も話さないのは絶対にダメです。
無言のまま次に進むと、場に重い空気が漂い、その後は何をやってもグダグダな展開になります。
面白くないことが起こった、いやまた起こるかもしれないという緊張感から笑いが起こりづらい異様な空気がそうさせるのです。
スベったあとはすぐに自分か相方(+共演者)が話し出し、スベったままの状態で終わらないようにしましょう。

最後に


素人が一発ギャグをやるのであれば、芸人さんのネタをマネすると楽に笑いを誘えると思います。
一方、芸人さんであれば、まずは笑いを誘うボケの構造を理解したうえで、試行錯誤して作るようにすればいいでしょう。

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