俳句の作り方のコツ

松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音(ふるいけや かはづとびこむ みずのおと)」を使って俳句の作り方を学んでいきましょう。

五感で表現する


人間が体に感じる感覚は5つあります。
目で見て感じる「視覚」、耳で聞いて感じる「聴覚」、皮膚に接して感じる「触覚」、鼻でニオって感じる「嗅覚(きゅうかく)」、舌で味わって感じる「味覚」。その5つの感覚をまとめて「五感」と呼びます。
句に五感を取り入れることで、読み手(聞き手)が過去の体験から感覚を思い起こしたり世界を想像することで、句の世界観を体感的に感じられるようになります。
  • 視覚: 「目」で見る「景色・物・動植物など」
  • 聴覚: 「耳」で聞く「音」
  • 触覚: 「体」で感じる「感覚」
  • 嗅覚: 「鼻」でかぐ「匂い」
  • 味覚: 「舌」で感じる「味」

  • 視覚: 古池や、蛙飛び込む
  • 聴覚: 水の音
  • 触覚: -
  • 嗅覚: -
  • 味覚: -


古池や
  • 視覚: 草木や苔むした岩に囲まれた池
  • 聴覚: -
  • 触覚: (入水時の冷たい感覚)
  • 嗅覚: (草木の匂い)
  • 味覚: -

蛙飛びこむ
  • 視覚: ぴょこんとジャンプする姿
  • 聴覚: -
  • 触覚: (ジャンプをするために足で踏ん張った感覚)
  • 嗅覚: -
  • 味覚: -

水の音
  • 視覚: (水面に広がる波紋)
  • 聴覚: 「チャポンッ!」というような着水音
  • 触覚: (入水時に体に受ける水の抵抗感)
  • 嗅覚: -
  • 味覚: -

5W3Hで表現する


情報を正確に伝える手法として「5W3H」という方法があります。
頭文字「W」で始まる「When」「Where」「Who」「What」「Why」の5つと、頭文字「H」で始める「How to」「How many」「How much」の3つです。
5W3Hの各項目を当てはめながら考えることで、まとまりがあり意味が通じやすい句を作ることができます。
  • When: いつ(「季節」は一年を通した景色、「時間帯」は一日を通した景色など、情景を作る語)
  • Where: どこで(場所など、情景を作る語)
  • Who: 誰が(句の主役。また、句の作り手が受動的な立場になる相対的な相手)
  • What: 何を(※句に含まれる相対的な因果関係から合理的な結果を句にする)
  • Why: なぜ(理由。句の主役もしくは句の作り手が持つ性格・性質上の合理的な主因)
  • How to: どのように(句の主役が持つ性格・性質上の方法)
  • How many: どのくらい(※量。具体的な単位は使わず、句の主役が持つ性格・性質上からの想像的な量)
  • How much: いくら(金額。俳句ではあまり使いません。使うとしても比喩的な使い方になると思います)

  • いつ?: 春(蛙の季語)
  • どこで?: 古池
  • 誰が?: 蛙
  • 何を(した)?: 池に飛び込んだ
  • なぜ?: 蛙(両生類)は水を好む習性があるから
  • どのように?: ぴょこんと
  • どのくらい?: 数センチ
  • いくら?: -

作り方のコツ


舞台
景色を想像できるキーワードを入れましょう。
頭の中でキーワードに関する映像を想像することで雰囲気をつかみ取りやすくなります。
逆に、景色のキーワードを入れないと、句の内容が感覚的すぎて伝わりづらくなります。
景色は具体的な場所名を入れるか、もしくは想像をしやすい場所(物)を入れるようにしましょう。

  • 柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺(鐘や法隆寺の厳かなシルエットを想像できます)
  • 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(硬いゴツゴツとした立派な岩を想像できます)


主となる者・物
人間や動物、物など、句のメインとなる「者(もの)」や「物」などをキーワードとして入れます。
キーワードは動きのあるもので想像しやすいものにすると、句に躍動感が出ます。
波状的(一点から広がる壮大さ)、収束的(一点に集まる緊張感)、瞬発的(一瞬の力強さ)、瞬間的(一瞬の緊張感)、物量的(希少的ならば繊細さ、多量的ならば壮大さ)、

  • 柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺(柿が秋の情緒を作り上げ、鐘が鳴る一点から町全体に広がる音(季節)の波紋)
  • 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(小さくも力強く鳴くセミの声に、硬い岩すら音が刷り込まれる)


五感
五感の中のどれかを重視して句を作ると印象的になります。
生活に関係する五感(日常的で想像しやすいが、普通の句になりやすい)、自然(雄大さがあるものの、漠然とした句になりやすい)、動植物に関する五感(躍動的なものの、奇をてらった句になりやすい)

  • 柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺(鐘の「ゴォ~ン」と響き渡る「音」の重み)
  • 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(セミの「ミ~ンミ~ン」と繰り返し鳴く「音」の波)


感情
むなしい、さびしい、かなしい、無力感など、マイナス的な感情を持たせる句にすると味わい深い句になります。
春(別れの季節)、夏(夏の終わりにかけてのむなしさ)、秋(夏との落差)、冬(景色の落差)

  • 柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺(情熱的な夏を終え、情緒的な秋の訪れが響き渡るようなむなしさ)
  • 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(夏を必死に生きる短命なセミのはかなさ)


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旅行という勉強法


俳句の「作り方を覚える勉強」も大切ですが、旅行に出かけて五感を養う「感覚の勉強」もしてみてはいかがでしょうか?
実体験からしか分からない景色の奥行き、感じる匂いや音、家で生活していては思いつかないような感覚が旅をして初めて知ることができます。

実体験を盛り込む


実体験を句に盛り込むことで、その句の意味が大きく広がります。。
想像で作られた句よりも実体験に基づいて作られた句は、読み手(聞き手)が句の作り手の人生(体験)に思いを寄せやすく感情を突き動かしやすくなります。
句を作った理由を尋ねられたとき、または句に込めた思いを公表するときに実体験だと添えておくといいでしょう。

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