宮崎駿の作品にありがちなこと

「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」の監督で知られる宮崎駿さんの作品に共通する特徴のまとめ。

キャラクター編


子供の女の子が主人公
子供が主人公であれば、「勢い(高揚)」×「心の弱さ(沈滞)」、「成長(変化)」×「純粋さ(不変)」が出せます。
子供は思慮が浅く行動的で、絵的に動きが出しやすいです。つまり、退屈しない映画にしやすいということですね。
また、成長前(序盤)と成長後(終盤)の変化を持たせたり、無欲でいることで、観客も見終わった後に何かを得られた感覚に陥ります。

一方で、大人は思考的で落ち着きすぎて面白みが出しづらいです。
大人は「冷静(沈滞)」×「心の強さ(安定)」、「成長(不変)」×「自己中心的(不変)」となります。
宮崎作品の中で『風立ちぬ』が堅苦しい印象を受けるのは、マジメな青年を主人公にしているからだと思います。

ちなみに、男の子は同性受けが悪いです。ジャニーズタレントさんは男受けしないけど、AKB48さんは異性受けも同性受けもしますよね?
それに男の子が冒険するのは当たり前なので面白みがありません。女の子が冒険するとギャップがあって面白くなります。
もし『となりのトトロ』が成人男性二人の兄弟が主人公だったとしたら?「まっくろくろすけ出ておいで~」なんて好奇心旺盛なことも言わないし、迷子にならないし。
例: 荻野千尋(『千と千尋の神隠し』、キキ『魔女の宅急便』より。以降の例も同様)

主人公の対照的なキャラ
主人公の人間性を強調するために対照的なキャラクターが登場します。
主人公が明るいのであればおとなしいキャラ、主人公がおとなしければ明るいキャラが登場します。
物事の対比をえがくことで、主張したいことをより鮮明にできます。
例: リン(※性格がキツそうな湯屋で働く先輩)、ウルスラ(※性格がキツそうな画家)

ふくよかな女性
一昔前の世界観を作るためか、昭和時代にいた女性のようなふくよかな女性が登場します。
ちなみに、おばあちゃん(ババア)の出現率高いです。
主人公が若者だから、その対比として老人を出すことで物事の考え方(思慮深さ)や雰囲気(人間としての重み)にメリハリが出ます。
主人公同様、女性のほうが柔らかい雰囲気が出せるのでおじいちゃん(ジジイ)より起用率が高いです。
例: 湯婆婆(※魔女)、老婦人(※ニシンのパイを依頼する)

恋愛要素
ストーリーに恋愛要素を入れると、感情移入されやすくなる。
老若男女問わず恋愛ストーリーって通じますからね。
例: ハク(※屋敷に住む)、トンボ(※自転車乗り)

敵はいい奴
あれっ?こいつ敵なのに本当はいい奴だな、っていうキャラクターが登場します。
「敵対者」として前置きがあり、嫌な奴だろうという先入観を観客に植え付けておいてから実際会ったらはいい奴にすることで、意外性が出せて面白くなります。
人情味を感じられるやり取りがあります。
例: 銭婆(※ハクを追い詰めた敵の家に行ったら、いい人だった)、配達先の犬(※大型犬で恐いと思ったら、ジジを助けてくれる)

奇妙な生物
変な生き物が登場します。
  • 群衆(小さくて、たくさん出現)
  • 多足(手足がたくさんある)
  • 巨大(大きな体格)
  • 浮遊(空を飛ぶ)

映像編


古い建物・洋風の建物、森・海・空
日本なら一昔前の時代の建物や外国の洋風な建物、木々が生い茂る森、広渡る海、晴れ渡る青空。
映画の公開日が夏が多いので、夏っぽい景色が多いです。
ノスタルジーを感じさせます。

あるあるな動きを大げさにしたシーン
人の特徴的な動きを大げさ(誇張)にした表現を使います。
例: 体のしびれが髪の毛まで伝わったり、走り出したら勢いがついて止まれない(※結果、ぶつかる)。

高所
緊張感を高めるために高い場所を移動するシーンを入れます。
手すりのない高い場所・急斜面を移動したり空を飛んだりします。ときには高所で落ちかかったり、助けるため手を取り合ったりします。
  • 風立ちぬ: 飛行機、ベランダの屋根
  • 崖の上のポニョ: ?
  • ハウルの動く城: ?
  • 千と千尋の神隠し: ハクにしがみつき空を飛ぶ、銭湯の外階段
  • もののけ姫: 崖
  • 紅の豚: 飛行機
  • 魔女の宅急便: ほうき、プロペラ付き自転車、飛行船
  • となりのトトロ: トトロにしがみつき空を飛ぶ
  • 天空の城ラピュタ: 飛行石、フラップター、飛行船、ラピュタ外壁
  • 風の谷のナウシカ: グライダー、飛行船
※「?」としているところは、内容をほとんど覚えていないため空白としています。

ストーリー編


ファンタジーな世界観
非現実的な世界観を作ると子供受けしやすい。
あと、ファンタジーにすると表現の幅を広げやすいです。
  • 世界観(現実的な世界・和風 or 現実的な世界・洋風 or 現実的な世界に異世界が混ざる or 現実的な世界から異世界に迷い込む or 異世界)
  • キャラクター(現実的な人間 or 現実的な人間的だけど特殊な能力などを持つ or 人間ではない生物)

各作品の特殊な空間(舞台)と特殊なキャラクターの一覧。
  • 風立ちぬ: 夢の中/夢に現れるカプローニ伯爵
  • 崖の上のポニョ: 海底/魚の女の子ポニョ
  • ハウルの動く城: 動く城/魔法使いのハウル
  • 千と千尋の神隠し: 奇妙なトンネル/八百万の神々
  • もののけ姫: タタリ神
  • 紅の豚: 豚の主人公
  • 魔女の宅急便: 魔女の主人公
  • となりのトトロ: 奇妙なトンネル/トトロ
  • 天空の城ラピュタ: ラピュタ/ロボット兵
  • 風の谷のナウシカ: 腐海/王蟲


進展
主人公の成長を見せる。
  • 自分の中での迷い(悩みから解消へ)
  • 他者と仲良くなる(ぎこちない仲から助け合う仲へ)

社会問題をテーマ取り入れ
いろいろ考えさせられる作品に。
  • 環境問題(環境に悪影響なこと)
  • 紛争問題(人と人とが争う)
  • 兵器(悪人が強力な武器を使おうとする)

風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 (文春ジブリ文庫)
宮崎 駿
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ストーリーに起承転結
  • 起: 登場人物の人間性、人間関係など主要な人物を説明&舞台となる場所の説明
  • 承: 作品のテーマを具体的に展開させる
  • 転: 問題が二つ発生し(※事前に伏線が張られている)、一方はもう一方に吸収される形で収まる。問題とは「誰かを助ける」と「ピンチ」
  • 結: 複線の回収

例: 千と千尋の神隠し
  • 起: 千尋をはじめ主要なキャラクターが登場する&湯屋の構造を説明するシーン
  • 承: 千尋が湯屋で働いて結果を出す
  • 転: ハクを助けようとする&カオナシに追いかけられる
  • 結: 千尋の髪を結んでいる紐が光る

例: となりのトトロ
  • 起: サツキとメイをはじめ主要なキャラクターが登場する&家の構造やその周辺の構造を説明するシーン
  • 承: トトロと遭遇する
  • 転: 母親の具合が悪いという連絡&メイが行方不明
  • 結: 母親が入院している病室の窓にトウモロコシが置かれている

ストーリーには全体に「起・承・転・結」があり、それぞれの中に起承転結があるという二重構造をしています。
つまり、最初に起の起承転結、次に承の起承転結…といった具合になっています。
テレビ放送だとCMが入るうえ、20~30分ぐらい間隔で起承転結が分けられているため切れ目が分かりやすいです。

作品のタイトル編


作品タイトルに「の」
タイトルに「の」を入れると音の響きがいいですね。
  • 崖の上ポニョ
  • ハウル動く城
  • 千と千尋神隠し
  • ののけ姫
  • 魔女宅急便
  • となりトトロ
  • 天空城ラピュタ
  • ナウシカ

タイトルに「名前」+「漠然とした作品のテーマ」
名前 or 主人公を漠然と捉えたものに、漠然とした作品のテーマ(※場所であることが多い)を捉えたものを「の」でつなげてます。
  • ポニョ(場所+名前)
  • ハウル動く城(名前+場所)
  • 千尋神隠し(名前+テーマ)
  • (テーマ+漠然)
  • (テーマ+漠然)
  • 魔女宅急便(漠然+テーマ)
  • となりトトロ(場所+名前)
  • 天空ラピュタ(場所+名前)
  • ナウシカ(場所+名前)

その他


映画の公開日が夏休み狙い
子供向けな作品のためか映画の公開日が夏休みあたりに多い。
長期の休みを利用して映画を(何度も)見てもらおうとする戦略なんだと思います。
結果、夏を意識した世界観(景色)が多いです。
  • 風立ちぬ: 2013年7月20日
  • 崖の上のポニョ: 2008年7月19日
  • ハウルの動く城: 2004年11月20日
  • 千と千尋の神隠し: 2001年7月20日
  • もののけ姫: 1997年7月12日
  • 紅の豚: 1992年7月18日
  • 魔女の宅急便: 1989年7月29日
  • となりのトトロ: 1988年4月16日
  • 天空の城ラピュタ: 1986年8月2日
  • 風の谷のナウシカ: 1984年3月11日

余談


ポスト宮崎駿とされる『時をかける少女』や『サマーウォーズ』の作品で知られる細田守監督の作品も似た傾向があります。
宮崎さんの作品と同じように、夏休みあたりに公開だったり、ファンタジーなストーリーだったり、ご覧の記事と同じ手法を使っているのかもしれません。

  • 時をかける少女(時間を巻き戻す能力)(非現実的な力)
  • サマーウォーズ(バーチャルな世界)(非現実的な世界)
  • おおかみこどもの雨と雪(人間と狼のハーフ)(非現実的な生物)
  • バケモノの子(バケモノの世界とバケモノ)(非現実的な世界と生物)
以上のように、非現実的な何かを主人公とするか、もしくは非現実的な世界観を構築していますね。

新海誠監督も似た傾向がありますね。

  • ほしのこえ(地球にいる男子と、宇宙に行った女子がメールでやり取りする)
  • 雲のむこう、約束の場所(現実にいる男子と、夢の中に女子が現れる)
  • 秒速5センチメートル(東京・鹿児島に住む男子と、栃木に住む女子が手紙を交わす)
  • 星を追う子ども(地下世界の男子と、地上人の女子)
  • 言の葉の庭(男性と女性が雨の日の午前にだけ会う)
  • 君の名は。(東京に住む男子と、岐阜に住む女子が夢の中で入れ替わる)
男女を二つの場所に分断させて、もどかしい思いにさせる傾向ですかね。あと手紙・メールなどの文章交流の使用率高し。

セット
ジブリ作品にはセットになる作品がありますね。
  • 和の『風立ちぬ』&洋の『紅の豚』(哀愁漂う飛行機野郎の悲しい恋)
  • 和の『崖の上のポニョ』&和の『となりのトトロ』(不思議な生き物と子供の交流)
  • 洋の『ハウルの動く城』&洋の『天空の城ラピュタ』(特殊な城と謎めいた目標)
  • 和の『千と千尋の神隠し』&洋の『魔女の宅急便』(職業体験を通した成長)
  • 和の『もののけ姫』&洋の『風の谷のナウシカ』(森の生き物と神と人間が持つ欲の愚かさ)

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