大喜利サイトにありがちなこと

「お笑い」を研究していると、他の人とはものの見え方が違うようになってきました。
最近では、大喜利のボケがすべて構造的に見えるようになってます。
そんな私が大喜利について語ります。

大喜利初心者にありがちなボケ方の例を紹介します。
よく見かけるのは「お題に対して極端なボケ」をしているのを見かけます。
お題: トイレに付いた斬新な機能とは?
答え: 便器ごと空のかなたに吹っ飛んでいく。

技術的に言えば、極端な展開を起こして「意外性を付けている」だけなので、ひねりが見当たらないです。

で、大喜利に慣れてくると“あるボケ方”をすることが多くなります。
それは「一掛け(いちかけ)」というボケ方です。
文章中に一回だけ掛け合わせる部分を作り出すようにボケる、それが「一掛け」です。
お題: トイレに付いた斬新な機能とは?
答え: 嫌な気分を水に流してくれる。

この「水に流す」という部分には「トイレの機能として水に流す」と「ことわざの嫌なことを水に流す」という二つの意味を含んでいます。
その共通しているという点に読んでもらう人に気づかせて面白さを出すのが「一掛け」になります。
ちなみに、掛け合わせる時に共通点を作らないシュール(非現実的)なボケ方もありますが、できれば共通点を作ったり合理的な展開を作ると良くなります。

ただこのボケ方が面白くなるのは、かなりひねっている場合だけで、大抵は面白くなりません。
というのも、ダジャレと同じレベルでしかないからなんです。

ダジャレというのは言葉の共通点を作りだすことでできます。
例えば、「電話に誰も出んわ」なら「電話」と「出んわ」というふうに「でんわ」という言葉が2度出てきます。
また、「布団が吹っ飛んだ」なら「布団」と「吹っ飛ん」という感じで少々強引ですが「ふとん」という言葉が2度出てきます。
そうやって「同一性(※共通点)」を作り出すのがダジャレです。

ダジャレの場合は二つの言葉(文章)が文章中に離れた位地に存在しています。
一方、「一掛け」の場合は、一つの言葉(文章)に二つの意味が含ませる技になります。
その「一掛け」も結局は「ダジャレ」と同様で、一回しか共通点を作らないので、ダジャレと同じレベルでしかないというわけです。
ちなみに、Wコロンのねづっちさんの「謎かけ」も原理は同じです。

オヤジギャグって面白くないと言われます。
理由は、オヤジギャグを聞かされる側は、共通点を作り出すのがお笑いのボケだと知っているけど、同じ言葉を二回繰り返したところで面白さは無いと感じます。
「一掛け」も同様で、同一性を作り出すのがお笑いのボケだと知っているけど、共通点を一回作ったところで面白さは無いと感じます。

大喜利をしている人の大半は「極端なボケ」をしているか、お題によっては「一掛け」ができることに気付いて「一掛け」をしている傾向が見られます。
前者のボケが評価されにくいのは明白ですが、後者のボケをしたところでダジャレと同レベルでしかないから、こちらも面白くなりにくくなります。

ちなみに、文章中に二箇所も掛け合わせる部分を作ることもできます。その名も「二掛け」
要するに、文章中に一掛けを二つ作ります。
一度の掛け合わせならちょっと考えればできますけど、二箇所になるとかなりひねる必要があり、そこに「うまさ」が感じられます。
ただし、この「二掛け」ができるかどうかはお題次第だし、時間制限があるような大喜利では無理に等しいです。
まあ、「三掛け(みかけ)」以上も理屈上はできるでしょうけど、文章中に共通点を三回以上作るのってかなり難しいので、まあ無理でしょう。

ここで、これはどうかと思わされるボケ方を紹介します。
他人のボケを見ているとその人の個性があふれてるんだけども、ちょっとこれはないよねって思わされるボケ方を挙げてみます。

ベタなあるあるネタ
あるあるネタってハマれば面白くなるんだけど、やっぱりひねりが足りないので面白くなっていない。

お題の趣旨に合わないボケをしている
お題をきちんと読んでいないのか、間違ったボケをしている。

連続投稿
ひねったボケを考えようと思えば時間がかかるはずなんですけど、投稿時間の間隔からして思い付きなボケを連続投稿しているように見える。

他のサイトのボケ方をマネる
これはセーフ。
ボケ方を規制したらボケれなくなるので。

他のサイトのボケをそのまま引用
これは完全にアウト。
ボケは自作であることが大事だし、ネタを投稿できる雑誌では盗用は禁止されています。
ちなみに、あるあるネタ(※例えば、何かの作品のセリフ)をもじってボケると、他人のボケとかぶることがあります。
特に、作品のセリフをダジャレにしたようなボケをすると、かぶりやすいですね。
ボケを思いついたらGoogleなどの検索サイトで、思い付いたボケを検索すると、未然にかぶることを防げます。
ちなみに、これはうまくできてるな~と思う他人のボケでも、検索サイトで確認すると大量に検索結果に出てきて、他から引用したのが分かることがあります。

で、ここまでは「技術論」で、ここからは「ニュアンス論」の話に入ります。
技術論というのは先ほどの「一掛け」みたいな構造的な話で、ナンセンス論は「文章が持っているニュアンス(意味)」の部分の話です。

大喜利のレベルの高い人は技術でボケようとします。
大喜利のレベルが低い人は技術は知らないので思い付きで極端なボケしかしないし、するとしても「一掛け」どまり。
で、レベルが高い人だからといって面白いボケを作れるとも限りません。
その原因が「文章が持っているニュアンス」です。

技術が「うまさ」だとしたら、ナンセンスは「くだらなさ」です。
この「くだらない」というのを作り出すのが難しいです。
まず、なにがくだらないというのかが個人の感性で違うし、なにより文章の持っているニュアンスは複雑です。
だから、大喜利のレベルの高い人でも面白い作り方は分かるけど、実際に何を文章に取り入れて面白さを作るのかが難しく感じます。
プロの漫才師でさえ舞台でスベる日があります。
技術通りにネタを作っても、ナンセンスが足りない、ということです。

先ほどのダジャレが面白くならない原因をここで解き明かすと、「くだらなさ」が無いからです。
ダジャレには技術的に「同一性」はありますが、ニュアンス的に「くだらなさ」がありません。
だから、面白くないのです。

じゃあ、面白いボケを作るにはどうすればいいのか?
答えは「あるあるを崩す」のが一番いい方法になります。
この「あるある」ですが、あるあるというのは段階があります。
例えば、「野球」に関したあるあるだった場合に、以下のように分けられます。

「ピッチャー」「キャッチャー」「一塁ベース」といった「キーワードレベル」のあるある。
また、「巨人軍は永遠に不滅です」みたいな有名なセリフなど、文章も含みます。
まあ、一般的には、この程度のものは「あるある」と呼ぶべきものではありませんが、野球に特化したキーワードなので一応あるあるに含めています。

次に「ファウルチップが股間に当たる」「隠しだまによるアウト」といった「動的レベル」のあるある。
ある特徴的な展開による動的な現象(※動きのある現象)のあるあるになります。
「キーワードレベル」のような文字だけとは違い、実際に展開として起こった(起こりそうな)あるあるです。
ただし、この「動的レベル」のあるある自体はさほど面白さを含んでいません。
ただの出来事だからです。

最後に「面白い動的レベル」のあるある。
申し訳ないですが「野球」に関する「面白い動的レベル」がないので、「野球」以外で以下のリンクが例になります。
男子ならやってしまいがちなこと。

動的でありつつ、ニュアンスに面白さを含んでいます。

で、ボケがうまい人っていうのは以上の「キーワードレベル」「動的レベル」「面白い動的レベル」のあるあるを「崩す」ようにボケます。

キーワードレベル
明智光秀の有名なセリフ。

文章をうまく崩して別の意味にすり替えてます。

動的レベル
犬の散歩と事件を掛け合わせ。

それぞれの展開は面白くないのですが、掛け合わせると面白くなります。

面白い動的レベル
やってしまいがちなモノマネと勘違い。

モノマネしていること自体があるあるですが、さらに崩してます。

作り方は、「キーワードレベル」「動的レベル」「面白い動的レベル」のあるあるを用意します。
そして以下のように作り変えます。
  • 文字(文章)を微妙に変えて別の文字(絵)に見えるようにする。
  • 文字(文章)を微妙に変えて別の意味にする。
  • 文字(文章)に別の文字(文章)を付け加えて別の意味にする。
  • 上記のどれかを使って合理的(非合理的)な展開を起こす。

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で、ここで残念ながら一つお詫びです。
ここまで大喜利のテクニックを紹介しましたが、これが意外に使うのが難しいです。
個人的にはフリースタイルのボケ(※お題なしにボケる)は面白くなりやすいと思いますが、大喜利で面白いボケを作るにはかなり難しいと思います。
というのも、大喜利というのはお題のせいで、かなり制約ができてしまうので、あるあるがあっても生かしにくいです。
技術を知っている人がお題を出してくれるとありがたいのですが、世の中、技術を知らない人のほうが圧倒的に多いので、ボケずらいお題のほうが多くなります。

以上を覚えたら、大喜利サイトへ行って投稿されたお題やボケを見れば、その人の実力が分かるようになります。
実力のある人はあるあるを使いやすいお題を出してくれたり、またボケる時にあるあるを崩すようにボケています。
逆に、実力がまだまだな人は、あるあるの少ないお題を出したり、極端なボケばかりしています。

最近、巨大掲示板「2ちゃんねる」さんで、大喜利?のお題に「AがBだったらありがちなことは?」や「Aにありがちなことは?」みたいなお題が出されているのを見かけます。
AやBには有名な人や作品の名前、職業などのキーワードが入っています。
あるあるでボケられるようになっている上、あるある同士を「一掛け」できるようなお題になっています。
このように「2ちゃんねる」さんに参加する大喜利の技術を分かっている人は、ボケやすいお題を出してくれます。

で、大喜利のことを分かっていない人が多いサイトでは、あるあるの少ないキーワードを含んだお題ばかり出されます。
また、お題を出した人が自分の出したお題でボケています。
本当は自分のお題でボケるのは問題があるんですけど、誰も問題があるとは気づいていません。

なぜ問題があるのかというと、お題を考えるときにそのお題に含まれているキーワードにあるあるが多いのか先に考えます。
それを考えずにお題を出すと、お題の中のキーワードにあるあるが少ないせいで非常にボケずらくなってしまうことがあるからです。
それを防ぐためには、お題を出す人がお題にあるあるがたくさん含まれているのかを「お題を出す前に確認するのが暗黙のマナー」と言えます。
あるあるが少ないと思うのなら、あるあるが多いお題に差し替えればみんながボケやすいというわけです。

ただし、そこに問題があります。
お題を出す人は誰よりも先にあるあるを考え、しかもお題を出した後 誰よりも先に自分でボケることができます。
つまり、優先してあるあるを使うことができ、こうなると他のボケる人よりボケやすくなるため、「フェアじゃない」というわけです。
まあ、そこに気づく人はちゃんとあるあるを崩してボケるということを知っている人なので、お題を出す人が自分のお題でボケること自体に「おかしいと気づく」のですが。
誰も気づかないとすれば、ボケ方がまったく分かっていないことが露呈してしまうのです。
要するに、思い付きで極端なボケをしているだけの人(たち)ということが分かってしまいます。
もし大喜利サイトで自分の出したお題でボケるサイトがあるとしたら、フェアじゃない条件で大喜利をしていると思ったほうがいいでしょう。
ちなみに、お題が出されてすぐに、お題に含まれているキーワードのあるあるを使いまくってボケたら、後からボケる人はあるあるが少なくなってボケずらくなるという問題が発生します。

まあ、やろうと思えば先に面白い画像を用意しておいて、それに合った面白いあるあるボケをいくつも考え、その後 自分でお題を出した後にその考えたボケを投稿するなんてこともできてしまいますから。
もちろんテキストでも同じ。
ハガキ職人をやっているようなセンスのある人は絶対に有利ですよね。

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