人を泣かせるコンテンツの作り方

作品をつくるときに人を泣かせたいときにはどうすればよいのか?
その方法について書いています。


人間が泣く仕組みとは?


何故、人間は泣くのか?
赤ちゃんは泣きます。
なぜ?
それは「自分で問題解決できないから」です。
赤ちゃんは不快さを感じた時に自分で解決することができません。
そこで「泣く」ことによって親(母)に、「問題解決してもらおう」とします。
つまり、「泣く」という行為は、「問題が発生したと痛感したとき」に「親に問題解決してもらうための合図」になっています。

思い出してみれば子供の頃にはよく泣きますが、大人になってからは泣かなくなります。
子供は物事を考えて解決するだけの知識や能力がありません。
それが大人になるにつれて知識や能力が身に付き、問題解決できるようになるので泣かなくなります。
それでも大人が泣くのは、赤ちゃんの頃の「泣く」という反射的な反応(本能)の“なごり”なんだと思います。

泣かせるコンテンツの作り方とは?


さて、ここからが本題になります。
どうやったら人を泣かせるコンテンツが作れるのか?
それは、「人に対して問題解決できないことを痛感させればいい」ということになります。

人間にはミラーニューロンというのがあります。

簡単に説明すれば、他人の行動などによって自分の感覚が同調する仕組みが人間にはあります。
これを利用して、「人に対して問題解決ができないと痛感させればいい」ということになります。

よくドラマでは「人の死」が使われます。
登場人物が死に、感情移入していた視聴者は泣いてしまいます。
「人は死んだらもとにはもどらない」という「絶対に解決できない問題が発生」して、それを視聴者が同調することによって泣くということを利用しています。
そこでドラマでは病気のヒロインを登場させて、最終回に死なせるという展開を迎えることがあります。
人の死は「問題解決することはできない」と痛感させるには一番強力な方法と言えます。
もし人が死んでもすぐに生き返るのではあれば、人が死んでも誰も泣かなくなるだろうと思います。

映画やドラマになった『世界の中心で愛を叫ぶ』の場合、ヒロインが死んでしまいます。
その世界観を歌詞にしたのが平井堅さんの「瞳をとじて(※映画版)」と、柴咲コウさんの「かたち あるもの(※ドラマ版)」という曲です。
歌詞の内容は人の死を間接的に表現する内容になっています。
「瞳をとじて」は男性側の目線(好きだった人に先立たれた)で、「かたち あるもの」は女性側の目線(好きな人を残して死んだ)になっています。

では「人の死」以外の方法で「問題解決ができないと痛感させる方法」は?
とにかく人に対して「問題だということを認識させて、それを解決できない」という流れを作ればいいです。

具体的な作り方としては、まず、「前向きな気持ち」を用意します。
そして「その逆の気持ち」を用意します。
例えば、「バスケットボールがやりたい」という気持ちがあるとして、逆に「バスケットボールができない」という風に対照的な価値を用意します。
仮にストーリー展開としては「バスケが嫌い(もしくはバスケを否定する)」という人物を登場させ、物語の終盤に「本当はバスケがしたい」という気持ちを出させます。
このように対照的な気持ちを用意して、最初に問題を出し、最後に本音を出すという流れを組むようにします。
ちなみに、「バスケットボール」を例にしましたが、これはバスケットボール漫画『スラムダンク』に出てくる「三井寿」というキャラクターの展開です。
「スラムダンク」の場合、三井というキャラクターがバスケがしたいけど怪我で思うようにバスケができなくなる「もどかしさ」を描いています。
それを読者が「なにかやりたいのにできないもどかしさ」という感覚に同調するようになっています。
(仮に、「泣く」まではいかないとしても「共感」までは行くのではと思います。)

で、人に対して「泣きたくなる度合いを大きくさせる」には「好意度」を上げる必要があります。
例えば、まったく興味のないドラマのヒロインが死んでもさほどウルッとはきませんが、自分が好きなヒロインが死んだら感情移入しているだけに泣けてきます。
ヒロインへの好意度が高いほど死ぬことへの「問題」だという認識が大きくなり、解決できないと痛感する度合いが強く、泣けるということになります。


また、「泣きたくなる度合いを大きくさせる」方法には「表情」と「声」を利用します。
例えば、泣きじゃくっている表情を見ながら泣き声を聞くと「ミラーニューロン」に働きかける影響が大きくなります。
漫画『ONE PIECE(ワンピース)』ではキャラクターの泣くシーンを大きく描いています。
女性のキャラクターであっても鼻水を出しながら大泣きしています。
そうやって読者の心理を揺さぶる度合いを強めているので、漫画を読んで感動する人が多くいるので爆発的ヒットとなったのでしょう。

外見。
  • 眉(八の字, V字), 眉間のしわ
  • 目(充血する, 涙が溜まる, 涙が頬をつたう, 涙が離れ落ちる)
  • 鼻(鼻水が出る, 鼻が赤くなる)
  • 口(食いしばる, 大きく開ける)
  • 声(涙声, 鳴き声)
  • 肩(肩を震わす, しゃくりあげる)
  • 手(握りこぶし, 両手で自分の体を抱きしめる)

鳴き声。
  • 「おぎゃーっ」(赤ちゃん)
  • 「(う)え~ん」(子供っぽさ)
  • 「(う)わ~ん」(子供っぽさ・大きく)
  • 「しくしく」(小さく)
  • 「うっ、うっ」(小さく・小刻み)
  • 「くすん・ぐすん」(小さく・短く)
  • 「(う)あああああっ」(大きく)
  • 「(う)おおおおおっ」(大きく・体格が良く)

特に人を泣かせたいのであれば、特定の心理状態にある人を狙った問題をテーマにするとよいでしょう。
そうすると同調されやすく涙を誘うことができます。
例えば、卒業シーズンだったら、「友達との別れ」のような内容にすると良いです。
また、人は「落ち込んだとき」に誰かの言葉を求めるので、「問題に立ち向かおうとするけど、うまくいかない人への応援」のような内容にするのもよいでしょう。

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分野別の対策


作詞
音楽の詩を作るときに「泣かせる詩」を作るのは少し難しいです。
というのも、文章の量が限られているので、読む人を泣かせるまでもって行くのが難しくなります。
ドラマの曲の歌詞の場合は、ドラマのストーリーがあるので、詩の世界観が広がりやすく「泣ける詩」にしやくなります。

また、メロディーの影響も大きいです。
「泣ける曲」というのはある程度決まったメロディーの雰囲気があります。
間違ってもロックのような速いリズムではなく、ゆったりとした伸びのあるメロディーになっています。
楽器もピアノや弦楽器を使うことが多いです。
先ほどの「世界の中心で愛を叫ぶ」で使われている曲もそういった感じのメロディーになっています。

メロディーの雰囲気によって感覚が揺さぶられやすくなるのだろうと思います。
あと、歌手の声質や歌い方。
バラードに向いている声質や歌い方のほうがぐっと来やすいです。

「詩だけで泣かせる詩」を作るとしたら、歌詞を読んだ人が
  • かなしい
  • さみしい
  • もどかしい
  • くやしい

といった心境になるような展開を作ると良いでしょう。

できれば「創作」ではなく「事実」であるほうが共感されやすくなります。
「トイレの神様」のプロモーションビデオの3分55秒と6分20秒あたりが泣けてくるのではないかと思います。
曲が長いぶん、詩に盛り上がりがつけられてますね。

あまり「死別」を理由に泣かせるコンテンツを作るのに抵抗がある人は、同じ別れでも「離別」を使うようにするといいでしょう。
例えば、卒業して離れ離れになるとか、故郷を離れるなどにしましょう。

漫画のストーリー
音楽の歌詞と違ってストーリーを長くできるうえに、絵があるので泣かせるストーリーにしやすいです。
まず初めに、読者をキャラクターに感情移入させる展開を作り好意度を高めておいて、先ほどの『スラムダンク』のように対照的な思いを用意します。
次に、ストーリーをネガティブ路線(したいことができない)にもっていき、追いうちを掛けてネガティブ度を上げ、最後に本音(こうしたいのに)を出すようにします。
その本音の心境を吐き出すときに「泣き顔の表情」を付けます。

「スラムダンク」の場合、三井は登場したての頃は不良として出てきます。
感情移入はできない状態から始まりますが、その後、過去を知るキャラが登場して三井の過去を話します。
そこに「なにかやりたいのにできないもどかしさ」を入れています。
その三井の「もどかしさ」に読者が感情移入するようにしておいて、バスケ部をつぶそうとしていたのに「安西先生…バスケがしたいです」と泣きながら本音を言うことで読者の感情を高ぶらせています。
できるだけ誰にでも思うような気持ちを使うと同調させやすくなるでしょう。

手法


我慢 ≫ 放出
問題解決できないのを我慢し続け、最後に心理を言葉や行動で表現します。
我慢し続けるほど放出したときのインパクトが大きくなります。

自己犠牲
自分にとってマイナス(損)なことをしてでも、他人を助けようとする。
または、なにかしらの努力を続けたのにもかかわらず、その努力を無駄にしてまで良いことや悟りをする。

対比
良かった時と悪い時を比較。
または、恵まれている人と恵まれていない人を比較。

空転
自分が想う相手を人力ではどうすることもできない、時間や空間を超えた存在にさせて想いを空転させる。
  • 果たせぬ約束(かわした約束を果たせぬまま遠い存在に)
  • 訪れぬ未来(思いえがく未来にはいれそうにもない存在に)
  • 帰らぬ人(どんなに待ち続けても帰ってこない存在に)
  • 戻りえぬ過去(遠い過去になってしまってどうすることもできない存在に)

ごまかし
強がりだったり恥ずかしさだったり、他人に見られないようにする。
  • 手でぬぐう(涙を消す)
  • 顔を洗う(涙か水か分からないようにする)
  • 雨に混ざる(涙か雨か分からないようになる)
  • 顔をそむける(その場で他人に見られないようにする)
  • 手で目を覆う(その場で他人に見られないようにする)
  • 手のひら・手の甲で口を覆う(嗚咽を小さくする)
  • 個室に入る(室内で他人に見られないようにする)
  • 布団にもぐる(寝室で他人に見られないようにする)

ラストシーン
ストーリーの最後に良いシーンを入れてそれまでの悲しい展開とギャップを付けて終わらせる方法があります
悲しいままで終わらせると展開として暗いので、最後に良いシーンを入れて、気持ちよく終わせます。
  • 思い出す(良かったときを思い出す)
  • 妄想(良い想像をする)
  • 夢を見る(良い夢を見る)
  • 上記のいずれにもとれる

最後に良いシーンを入れるのですが、人によって様々な解釈をされます。
例えば、生きている人と死んだ人を最後に同じシーンに入れた場合、生きている人も死んだと解釈される恐れがあります。
逆に、死んだ人が実は生きていたのでは?と解釈されるかもしれません。
読者(視聴者)の想像の余地を残して終わらせることで、解釈の違いを楽しむ話題性を作ることができます。

泣く人・泣かない人の違い


泣く人の傾向
  • 女性(一人がカワイイと言うと、もう一人もカワイイと言うぐらい他者に同調しやすい)
  • 羞恥心に乏しい(他者に弱さを見せるのにためらいがない)
  • 喜怒哀楽が豊か(感情をつかさどる脳機能が活発)
  • 論理的思考が得意(表情や言葉・行動、出来事の前後関係から他人の心理状況を読み取ることが得意※他人の感情の読み取りができる)
  • 論理的思考が苦手(問題解決力に乏しく不安になりやすい※心理不安を抱きやすい)
  • 人生経験が豊富(実体験で数多くの喜怒哀楽の体験をしていたり、ストーリー作品に多数触れている)
  • 子供(人生経験が浅く、問題に対しての知識や解決力が乏しいため漠然とした不安感を抱えやすい。また、他者の目を気にしないので強気であろうとしない)

泣かない人の傾向
  • 男性(女性は赤ちゃんを育てるので他者の心理変化に同調しやすく、男性は闘争本能的に弱さを見せたくないので泣く感情になりにくい。また、我慢をする)
  • 強気(社会的強者もしくは力関係において強者が優れているという考えが絶対の人は、弱さを見せたくないので泣く感情になりにくい。もしくは我慢をする)
  • 脳機能に問題(論理的思考によって他者の心情や状況を考えたり、喜怒哀楽の機能などの脳機能に問題があり、泣く感情が乏しい)
  • 人生経験が浅い(共感するだけの体験談や考えが少なく、他者と同じ状況を思い起こすことができない。)

良い出来事でも泣いてしまう?



「悲しくて泣く」以外にも「うれし泣き」というのがあります。
うれしいのであれば、特に解決できない悪い問題が発生しているとは思えませんが、人の感情の作用によって良い出来事でも泣くことがあります。
「うれし泣き」というのは、あまりにもうれしすぎて「気持ちが整理しきれないという問題が発生」しています。
「問題」が必ずしも悪い出来事とは限らず、良い出来事であっても感情が高ぶると脳が勝手に泣くように命令を出すと思われます。

先ほどの「空転させる」方法を使って読者(視聴者)を落胆させておいてから、想いが通じる結果に逆転させてうれしい展開に変化させる方法があります。
つまり、一旦悪い方向へ向かわせておいて、その後良い方向へ向かわせることで前後間のギャップを作り、振り幅を大きくすることで感情を煽ります。
良い出来事を強調したければその前に悪い出来事を起こす。逆に、悪い出来事を強調したいのであればその前に良い出来事を起こすようにすればいいでしょう。
ただ、良い出来事のストーリーで人を泣かせるコンテンツを作るのはやはり難しいので、悪い出来事が根底にあって、問題解決しようするけど問題解決できないというほうが泣かせるコンテンツに向いています。

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