CDが売れない2つの原因

最近のヒット曲ってなに?って聞かれてもすぐに答えられないくらいCDが売れなくなったので、その原因を書いてみます。
といっても「インターネットからのダウンロードが増えたから」とか「違法なコピーやダウンロードが増えたから」というベタなことは書きません。
また、そもそもCDが売れないどころか、ヒット曲自体が無いので「CDという物が売れない」という問題より、根本的に「曲が売れない原因」を書きます。

原因は、二つあります。
まず、一つ目は、「一人の歌手への負担が大きくなったから」と言えます。

仮に世間ではあまり知られていないAと言う歌手が曲を出したとします。
すると、その曲の良さに気付いた人からその曲に興味を持ち、歌手にも興味を持つようになります。
また、その歌手に気付いたテレビ局などのメディアも目新しさから取り上げるようになります。
で、人間には「刺激欲(造語)」と言うものがあります。
「刺激欲」とは、「人間がいままでにない好意的な感覚を感じるもの」に興味を持ったときに、脳みそが興奮(喜び)を起こすようになる脳機能的現象です。
例えば、たまたまテレビで初めて見た芸能人が自分の好みで、その後テレビでその芸能人が出ているのを見るとうれしい感覚になっていることがありますよね?。
人以外でも自分が欲しかった新製品を手にしたときのあのうれしい感覚。
そのときこそ、刺激欲が活性している状態なのです。
そして、Aという歌手が曲を出し、それに興味を持ち、そのAが出る番組をチェックして見るようになります。
人気がある曲なのでテレビでも頻繁に取り上げられて、見る機会が急激に増え、刺激欲を満たしてくれるようになります。
しかし、その刺激欲が起こるのは「最初のうち」だけで、その刺激欲はある程度の満たされると「麻痺し始めます」。
途端にそのAに対して刺激欲を感じなくなり、興味が冷め、なんとも思わなくなってしまいます。
90年代には人気歌手がたくさんいました。
そのため、一人の歌手にハマったとしても、ほかの歌手も良いので別の歌手の曲を聴き、また別の歌手の曲を聴きといった流れで、一人の歌手に対して麻痺(マンネリ化)しにくい状況にありました。
その90年代とは違い、いまはヒット曲の数が少なすぎるため、一人の歌手が歌った曲が良ければ、その歌手ばかりが取り上げられることになり、同じ歌手に対してしか興味の対象がいかなくなるので、当然刺激欲が麻痺するまでの間隔が短くなります。
それで世間から歌手自体がすぐに飽きられてしまい、新しい曲を出しても歌手自体への興味が失われているので、関心がいかなくなるわけです。
その刺激欲は、たぶん「歌手に対しては1~2年で麻痺する」様な状態に日本人はなっています。
つまり、今から新しく出てきてヒット曲を出した歌手は1~2年後には確実に飽きられているということです。
さて、ここで問題です。
飽きた歌手の曲を買おうと意欲的になれますか?。
興味を持ち始めて刺激欲があるときと、飽きたときでは購買意欲がまったく違ってくるわけです。

二つ目の原因は、「良い曲は作れるけど、心地良い曲が作れない」ことにあります。

まず、曲というのは3種類あります。
一つ目は、「イマイチな曲(メロディー)」です。
プロの人がその曲を聴くとイマイチに感じます。
当然、そんな曲は発売しません。

二つ目は「良い曲(メロディー)」です。
メロディーがしっかりしていて、プロが聴いてもイマイチとは思わない曲です。

三つ目は、「心地良い曲(メロディー)」です。
メロディーがとても脳みそを刺激してくれて、心地良い曲になっています。

以上を踏まえてですが、そもそも曲というのはプロがその気になったら1時間もあれば作れる、と断言できます。
というのも鼻歌を音符にすることができるプロであれば簡単に作曲ができるわけです。
また、最近ではパソコンに取り付けたマイクに向かって鼻歌を吹き込んだら楽譜にしてくれる優れたソフトもあるので素人でも曲を作れる時代になっています。
ただし、たとえメロディーが良くても「人間の感覚的には普通のメロディーにしか感じない」という現象が起こります。
たぶん人間の脳には、生きてきた中でたくさんの音やメロディーを聴いたことにより、「心地良く感じる音感」みたいなのが頭の中で形成され、そこに見事当てはまるようなメロディーでないと「普通にしか感じず、なんとも思わない」ような仕組みになっていると思われます。
例えば、世の中には「絶対音感」を持っている人がいます。
「絶対音感」と言うのは日常に起こる音の全てが音階になって聞こえるらしいですが、その絶対音感のせいで不快に感じる音もあるそうです。
ただ、一般の人が絶対音感を持っている人のように詳しく音階までわからないにしても、「音やメロディーに対する心地良さの感覚」が人間には備わっていると思います。
よってプロが「良い曲」を作っても世の中の人はまったく普通にしか感じず、興味を示さないようなことが起こるわけです。
そこで「売れる曲」を作るためには「人間が心地良く感じる音感」を刺激するメロディーを作る必要があるわけです。

1990年代から2000年代初期頃までには、いまとは比較にならないほどCDが売れ、ミリオンセラー(一曲の販売数が百万枚越え)がたくさんありました。
それだけに、いま異様なまでにCDが売れない原因はなぜなのか?、と世間で騒がれています。
それを解き明かすと、そもそもなぜ90年代にたくさんのヒット曲を作れたのか?と言うと、日本の作曲者たちが80年代に「洋楽を聴いていた」からです。
日本の作曲者たちがマイケルジャクソンやビートルズなどそれまでの日本には無かった斬新なメロディーを聴いていたことによって、「心地良く感じる音感」が磨かれていたのです。
その音感を90年代で一番に発揮したのが小室哲哉さんです。
その音感を活かして数々の「心地良く聞こえる曲」を作り出し、TRFさんを始め、篠原涼子さん、安室奈美恵さん、華原朋美さんなどや、自らユニットに参加したglobeを率いてミリオンセラーを連発していきました。
そして、90年代半ばの日本は小室サウンド一色に染まっていきました。
また、98年には宇多田ヒカルさんの「Automatic」が発売されました。
それまでの小室さんが手がけた華やかなアーティストの雰囲気とはまったく違うビジュアルやPV、そして派手さはなくゆったりとしたR&Bの曲調、ハスキーな声質から大ブレイク。
今までに無い好意的な感覚に人の刺激欲は活性化する、このことを象徴するかのように宇多田さんが99年に発売したアルバムは800万枚を超え、国内アルバム売り上げ1位になりました。

しかし、2000年代に入って日本の音楽界に異変が起こりました。
それは、作曲者たちが「洋楽のメロディーに対して聴き慣れてしまったことで音感が磨かれなくなってしまった」のです。
また、日本のJ-POPも洋楽テイストだらけになったことで、CDを買う消費者の頭の中の「心地良く感じる音感」が洋楽テイストに対して「麻痺し始めてしまいました」。
そこで、よくこういう声を聴きます。
「最近の曲は、クオリティーが下がった」と。
それは「いまの日本の作曲者たちは普通のメロディーしか作れなくなってしまったし、聴くほう(消費者)も普通にしか感じないようになったから」ということが答えとして言えます。
仮にヒット曲が出せてもそれは作曲者が一時的に音感が冴えわたっていただけで、その音感も長くは続かないので、ヒット曲の次に出す曲は普通のメロディーになってしまっています。
だから、いま曲が売れない時代になっているということです。

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