明石家さんまと島田紳助のトーク術

バラエティー番組で活躍するトーク上手で毒舌な「明石家さんま」さんと「島田紳助」さんのお二人を分析してみます。

彼らのレギュラー番組の多くは、スタジオでたくさんのタレントを相手にするトーク番組です。
他のお笑いタレントで彼らと同じぐらいトーク番組を持っている人はそうはいないでしょう。
これだけトークの仕事を任されるには、それ相応のトーク力がなくてはならないはずです。

彼らのトークはとてつもなくうまく、そして圧倒的に面白い。
それがレギュラーを持つ番組の数につながっているのが結論だとすれば、じゃあ、なにが面白いの?っていう理由が知りたくなります。
彼らの笑いの誘い方には「秘密」があります。

まず、一番の特徴は彼らは話すスピードがとにかく速い。
彼らほどのスピード感があるトークができるお笑いタレントさんがいるのか?といったら、間違いなくいないでしょう。
あのマシンガンのように連続して発射される言葉の数々は、言語をつかさどる脳機能が人並みはずれて優れているからできることなのでしょう。
また、ひな壇席に座っているたくさんの共演者を一度に相手をするところに、複数の物事を処理しながら計算できるパソコンのCPUなみに感じます。
このあたりがほかのお笑いタレントさんには、そう簡単にマネできない、そしてたどり着けない次元なのでしょう。

具体的に掘り下げてみます。
バラエティ番組のトーク中に、さんまさんと紳助さんがよく使うトーク術。
  • エピソード ≫ 面白いエピソードを語る
  • ツッコミ ≫ 共演者に対して発言・見た目を指摘する
  • 否定 ≫ 共演者に対して発言・見た目を否定する
  • けなし ≫ 共演者に対して悪く言う
  • タブー無視 ≫ 共演者に関して世間的に言ってはいけないとタブー視されているけど、本当はみんなが聞きたいことをあえて聞く

もちろん彼らのトーク術は、それだけじゃないです。



彼らは、番組収録中にあらゆるトーク術を駆使して笑いを量産しています。
もちろんこれらのトーク術をマネれば、一般人でも少しは彼らに近づくことができる、かもしれないです。
ただし「否定」や「けなし」、「タブー無視」といった手法は、相手が「お笑い」を分かっているからこそ成り立つ笑いの誘い方です。
もし一般人が、彼らのように「毒舌」を使って他人に対して悪く言うのなら、嫌われるリスクを覚悟しなければなりません。

笑いを誘うためにはツッコミを入れるかボケるかのどちらかになります。
ただし、ツッコミは誰かが面白い発言をして、そこにツッコミを入れることによって始めて笑いが誘えるので、共演者の誰かがボケてくれないとツッコミが使えず笑いを誘いづらくなります。
ダウンタウンさんの場合は松本さんがボケて、すかさず浜田さんがツッコミを入れるので成立しているわけです。
コンビ(二人)で司会をしている場合は、出演者がどんなにマジメな人で面白い発言がなくても、コンビの一人がボケて、もう一人がツッコミを入れれば成立するので笑いがとれます。
逆に、ピン(一人)で司会する場合は、笑いをとるのが難しくなります。
ボケてもツッコミを入れてくれる相方がいないので、ボケが伝わりづらいからです。
つまり、ツッコミを入れるにもボケるにもピン司会者というのは非常に笑いを誘うのが難しくなります。

ではなぜさんまさんや紳助さんが笑いを量産できるのか?
その秘密は「共演者」にあります。
「恋のから騒ぎ」や「クイズ!ヘキサゴンII 」など、「面白い発言をしてくれる共演者」だと彼らのトークが本領を発揮します。

この仕組みの例を挙げれば、桂三枝さん司会の「新婚さんいらっしゃい」
あの番組が人気があり、長年にわたって放送され続けている理由は、個人的な推測ですが出演者のオーディションで、面白い発言をしてくれる人を見つけることにあります。
あの番組に出演する素人夫婦は、とにかく言葉遣いに個性があります。
例えば、「彼の家に行ったら狭い部屋だった上に、特にすることもないので帰りました」というのが普通の言い方だとしたら、「彼の家に行った」「狭い部屋だな~と思った」「帰った」といったように、子供の作文のような話し方をする人がほとんどです。
本番では、素人夫婦の出演者が変な言葉使いや、おかしなエピソードを語り、三枝さんはそこに「ツッコミを入れるだけ」で笑いがとれる仕組みになっています。

つまり、面白い発言をする出演者がボケ担当になっているわけです。
司会の三枝さんはトークが得意である必要はなく、素人夫婦側に何かフリ(質問)を入れれば、「確実に変な話(変な言い方)」が返ってくるので、そこに「なに言うとんねんっ!!」とツッコミを入れれば、スタジオの観客やお茶の間の視聴者からいとも簡単に笑いをとれる仕組みがあったのです。

このようにピン司会者だと司会者の力だけでなく、「共演者が笑いをとる鍵を握っている」ことになります。
そこで「恋のから騒ぎ」や「クイズ!ヘキサゴンII 」を思い出してください。
出演者のほとんどが面白(天然)発言を連発してくれるので、さんまさんや紳助さんは共演者に対してツッコミを入れるだけでいとも簡単に笑いを取ることができています。
人気番組には人気を取るだけ、計算された仕組みがあるということです。

もし共演者の面白い発言が無かったらどうするのでしょうか?
必ずしも共演者が面白い発言をするとは限りません。
そんな笑いを誘うには非常にシビアな状況で、いかに彼らは笑いを誘っているのでしょうか?

そこで「けなし」や「否定」をフルに使います。
出演者に対して「毒舌」を使うことで、シビアな状況を突破します。

紳助さんは「行列のできる法律相談所」でレギュラー出演しているの東野幸治さんや磯野貴理子さんを始め、ゲストに対しても毒舌を吐きまくっています。
一方、さんまさんの場合は「踊る!さんま御殿」でお笑い慣れしていないゲストに対して言い過ぎ、ゲストを泣かせてしまった過去があります。
「毒舌」というのは笑いを誘う強力な武器であり、使い方によっては人を傷つけることにもなるわけです。
もちろん彼らの司会の番組に出演するということは、嫌であれば出演していないわけですから、出ると決まった以上毒舌のターゲットになることは了承済みなはずです。
大御所であろうと毒舌のターゲットになっている姿を見ると、悪く言われても笑いを起こしてもらいたいという思いがあり、毒舌を暗黙の中で容認していることになります。

人に対して悪く言うことは、良いことか悪いことかのどちらかと言えば、一般論としては良いとは言えません。
ただ、たとえ良くないとしても、さんまさんや紳助さんの毒舌でスタジオが爆笑に包まれ、そして番組が高い視聴率が取れているという現実があります。
世間の人は彼らの毒舌トークに魅了されていることは間違いないです。


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彼らのトーク力は芸能界でトップクラスだと思います。
また、そんな彼らのトークの面白さを格段に倍増させているのが共演者だった、ということが今回の記事で分かっていただけたのではないでしょうか。
この二つが組み合わさることで、彼らの番組が高視聴率を取れていた、というわけだったんです。
彼らのトークの次元を超える…、それどころか近づける芸能人は向こう100年は出てこないでしょう。

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